あー、あっちいなあ。



駅前の広場の一角。


描いた絵を何枚か地面に並べて、純は行き交う人を眺めていた。



無名の自分の絵を、わざわざ買いに来る人間なんて、めったにいない。



それでも、こうして道端で売っていた絵が縁で、雑誌の挿し絵の仕事をもらえたこともある。



なにもしないよりは、ましなことだけは、確かだから。