《4月9日》


私は中2になって、
宮崎と同じクラスになった。

宮崎は、
クールで、大人しくて、無口で…
最初は何の関心もなかった。

もしかしたら、
この時私の隣の席であった佐久間亮がキッカケだったのかもしれない。

佐久間は、

ことあるごとに忘れ物ばっかりして、
私がペンや消しゴムやらを貸していた。

その上、怠けぐせがあったから、
自分のことを自分でやらない。
全部私がやっていた。

例えば、
給食をつくったり、
落ちたものを拾ったり、
プリントを貸してあげたり、
勉強を教えたり。

周りのみんなはそんな私達を見て、

「近藤パシリかよ。」
「佐久間のこと甘やかしすぎじゃね?」

って、馬鹿にしたように口々に言った。

そんな時、

佐藤と同じ野球部の宮崎がクスリと笑って私に言ったんだ。

「まるで、近藤って佐久間のお世話係みたいだな。」

って。


ドキンと胸がなった。

なぜか分からない。

分からないのに、
私はこの日から宮崎を見るとドキドキするようになった。

今思うと、
そう、これはまさしく恋だった。

恋におちるキッカケなんて、
案外こんなものなのかもしれない。