幼馴染みってズルいよね【BL/mw】

 
 本日の仕事が終わった20:30.

 ハルキがやや重い足取りで再びmilky wayにやって来ると、ニヤニヤと妙な顔をしたアルゼフが唇の前で人差し指を立て、静かにしろ、とサインを送って来た。

 何かと思いハルキが扉の前で立ち止まると、カウンターの隅、照明が微妙に届かない端の席で突っ伏している見慣れた背中を見付けた。


「ヒサギちゃん!?」


 ハルキは思わず大声を出してしまい、慌てて口を押さえるがもう遅い。

 むくりと起き上がったヒサギは傍に置いてあったグラスの中身を飲み干し、入り口で立ったままの親友を見付けると思い切り睨み付けた。

 そんな怒った表情すら、ハルキには愛しく見える。

 一気に破顔するハルキだが、薄暗いのにも関わらず、目敏くヒサギの異変に気が付いた。


「……っ、ヒサギちゃん! どうしたのそれ!?」


 物凄い勢いで詰め寄り、赤紫色に変色している口許に手を伸ばすが、傷に触れる前に無下に叩き落された。


「触んじゃねぇよ」


 明らかに苛立った声色。

 触らぬ神に祟りなし、と言わんばかりにアルゼフとシズルは遠巻きに見ているだけだったが、ハルキはそうはいかない。


「また、喧嘩したの?」


 いつもの調子で話し掛けたのだが、仄かに香るウイスキーの匂いに気付いて、ハルキは1歩ヒサギから離れた。