「休憩時間終わるんじゃね?」
そう言いながら見せられた腕時計に、ハルキはびくっと肩を跳ねさせた。
「うわっ、マズイ!」
慌ててナポリタンをかき込み、サラダとスープとカフェオレも、しっかり残さず平らげた。
「仕事終わったらまた来いよ。飲もうぜ」
「分かった!」
ごちそうさま、と厨房に向かって声を掛けて、ハルキは慌てて店を出た。
そんな彼の後ろ姿を、アルゼフは空になったグラスをストローでイタズラにかき混ぜながら見つめていた。
「──あら、やっと帰ったのね」
ゆったりとした足取りで戻って来たシズルは、手際良く皿を片付けて行く。
「俺さ、ハルはもっとガツガツしてんのかと思ってた」
「そうじゃないから燻ってるのよ。でもそのおかげでアタシがヒサギの初めての男になれるわ」
「昼間っからカゲキですねー」
「これでも、惚れたら一途なのよ」
「でも俺、ヒサギちゃんが男抱くの想像出来ないなー」
「男なんてベッドの上じゃ別人じゃない」
「……シズに言われると否定出来ねぇわ」
カラカラと氷をかき混ぜて、アルゼフは苦笑いを浮かべる。
そして、その音が煩いという理由でシズルによってグラスは下げられてしまったのだった。


