「ハルの店、月に2日定休日の他に休みが取れるんだよ。そうなると、月に2回確実にハルはヒサギちゃんと会えないってワケさ。そんで今日が、その会えない日ってこと」


 ハルキは、現在同じ職場にいる(一応)親友のヒサギに8年間片想いを続けている。

 8年も燻らせていると、色々と面倒な方向に拗れて来る様だ。


「定休日は数に入れないんだ?」

「そこは突っ込んじゃダメ」


 職場に行けば、ヒサギに会える。

 何かあって会うのが気まずくても、出勤すれば会える。

 それが日常と化している所為で、ハルキにはヒサギが居ない職場というものが酷く味気ないものに感じられてしまっていた。

 店では気が張っているからかあからさまに態度には出ないが、一歩出ると違うらしい。

 milky wayに入れば一気に緩んで完璧に無気力状態だ。


「……ヒサギちゃんに会いたい……」


 静かな店内に、ぽつりと小声が落ちる。

「うわ、ついに本音が出たよ」

「ウザいことこの上ないわね。さっさと告白して玉砕すればいいのよ。アタシが特別に慰めてあげなくもないわ」

「……ちょ、シズってばハルまで喰うつもりかよ」

「中身は兎も角、ハルの外見は嫌いじゃないもの」

「今サラッと酷いこと言ったよね」

「どうせ聞いてないわよ」


 シズルとアルゼフはハルキの目の前で会話を繰り広げているのだが、ハルキは未だ突っ伏したままだ。

 そんな彼の肩をシンヤはトントンとそっと叩き、ナポリタンの皿の脇にコンソメスープを置いた。