「……ハル、意味分かんねぇよ」
「俺も分からない。幼馴染みっていう見えない何かであの3人は繋がってるんだよ」
羨ましい、ズルい、と小さく呟くハルキにアルゼフは溜息しか出なかった。
「ヒサギちゃん、連れて帰れよな」
言って立ち上がり椅子を戻したアルゼフは、もともと座っていたカウンターの明るい席に戻り、シズルに声を掛けた。
ハルキはヒサギの寝顔を見つめたまま、そっと彼へと手を伸ばす。
指先で口許の傷に触れ、そのまま唇をなぞった。
熟睡してしまっているのか、ヒサギはピクリとも動かない。
きっと今なら、キスをしても起きないだろう。
今まで何度となくヒサギが寝ている姿を見ているが、一度だって唇を奪った事はない。
触れたら最後、抑えが効かなくなるのは目に見えているし、万が一起きてしまった時の事を考えると、ヒサギに対してチキン過ぎるハートは怖気付いて行動に出られなかったのだ。
「おーい。寝込みを襲うなら帰ってからにしろよ」
アルゼフから飛んできた声に、ハルキはびくりと肩を揺らす。
「……か、帰りマス」


