『ヒサギの携帯繋がらないんだけど、何か知ってる?』
「あー……、それね」
どこを話したらいいものか、少し迷ってから、ハルキはスマホを持ち直した。
「携帯は、さっきヒサギちゃんが壊したんだ」
『壊した!? あぁ……そーゆーことか。分かった。他には何か言ってた?』
あぁ、の後の微妙な間にハルキは眉を顰める。
「……疲れた、って」
『うっわ、超面倒くせぇ。あたしもルウも暫く連絡しないから、ヒサギのことどうにかしとけよな』
「どうにか、って……」
『お前ならなんとかなるだろ、親友!』
サユコまでもがその言葉をハルキに突き付けて、電話は切れてしまった。
「サユコちゃん、なんだって?」
「……幼馴染みって、やっぱりズルいよ」
「は?」
全てを話さなくても、サユコにはヒサギの状態が伝わった。
ハルキがヒサギの為に言わないでおこうと思った事も、もしかしたらサユコには分かっているのかもしれない。
そんな風に思ってしまったら、重い心が更に重量を増して沈んでしまいそうだ。
それでも……。
「俺もヒサギちゃんと幼馴染みになりたかった……」
スマホを握り締めたままハルキはテーブルに突っ伏す。
顔だけを横に向けると、ヒサギの無防備な寝顔が見えた。
想い人の寝姿ほど愛しいものはない。
沈んだ心が、少し浮上するのだから、恋心なんてものは厄介だ。


