「おいハル、これってチャンスなんじゃね?」
「……そうかな。でも俺には、そう思えない」
「何でだよ。合コンも女もノーセンキューだって言ってんだぜ? そしたらもうお前の出番しかねぇだろ?」
「アルだって聞いただろ。ヒサギちゃん、ひとりで居たいって。それ、かなり疲れてる証拠なんだよ。俺も暫くは……」
「何だよそれ。誰も寄せ付けないって訳か?」
「前にもあったんだよ。電話もメールも全部無視。サユコとルウでさえ無視されて、2週間くらい音信不通で何してるか全然分からなかった」
「職場には来てたんだろ?」
「専門行ってた頃だからどうしてたかまでは……。さすがに今は仕事があるから店には出て来るだろうけど、明日になってみないと……」
声のトーンを下げたハルキは、静かに寝息を立てるヒサギの前髪をそっと梳いた。
くすぐったそうに睫毛が揺れるが、起きる気配は無い。
「取り敢えずさ、次の定休日にでもスマホ購入デートしてこいよ」
「でっ、デート!?」
「ヒサギちゃん、放っておいたら面倒くさがって携帯壊したまま放置しそうじゃん」
お前、ヒサギちゃんの唯一の親友なんだろ? と、アルゼフが意地悪く言うと、ハルキは苦笑いを浮かべて目元に掛かる前髪を掻き上げた。


