「うわー。どーすんのよ、ソレ」
徐に近付いてきたアルゼフが、床に転がったままの携帯(だったもの)を拾い上げた。
折られた衝撃で液晶にはヒビが入り、無残にも千切れた配線が飛び出してしまっている。
「こんなもん無くたってどうにでもなる」
「いや、絶対困るって! 店からの連絡とかさ、他にも色々入ってたよね!?」
「……ハルキの番号は憶えてる」
「えっ!?」
「なんだよ」
ぎっ、と睨まれてハルキは何も言えなくなるが、躍り出してしまいそうな心を必死に抑えていた。
ハルキだって、ヒサギの番号はしっかり暗記している。
ついでに言えば、メールアドレスもだ。
けれどそれは下心から来るもので、一度登録してしまえば番号なんて普通は覚えたりしない。
だからヒサギも、そうなんだとばかり思っていた。
それだけに、喜びが、嬉しさが、込み上げてくる。
「何笑ってんだよ」
「ご、ごめんっ」
「なぁなぁ。さっき言い掛けた『アイツの彼氏』の続きは?」
割って入ってきたアルゼフに、ヒサギは思わず舌打ちした。


