「……ちょっと、ヒサギちゃんに酒飲ませちゃダメじゃん!」
くるりとアルゼフとシズルに向き直り、ハルキはその表情を歪ませる。
「いや、飲ませたっつーか、ヒサギちゃんから飲むって言うから。なんかマズかった?」
「ヒサギちゃん、チューハイ1缶で酔うんだよ。しかも絡んでくる、から……」
言い掛けて、ハルキは止まった。
彼の肩を、ゆらりと立ち上がったヒサギが掴んだのだ。
「──おい、俺が酒飲んじゃ駄目なのかよ」
びくりと瞬間的にハルキは肩を跳ね上げたが、ヒサギの目が眠そうに揺らいでいるのを見て安堵の息を吐く。
「そうやって絡まないならいいんだけどね」
「煩ぇよ」
「ウイスキーのロックなんて冒険したね」
「……るせぇ」
大人しく席に着くヒサギの隣に腰を据えると、ハルキはもう一度ヒサギの口許に手を伸ばした。
その手は叩き落されることなく、ハルキの指先が赤紫に変色してしまっている皮膚に届く。


