「──……はぁ」


 見ているこちらまで憂鬱になりそうな程深い溜息を吐き出して机に突っ伏すハルキに、カウンター越しにカフェオレを置くシズルは顔を顰め、彼の隣に座るアルゼフはずぞぞとわざと音を立ててコーラを飲み干した。


「いつになく元気が無いね。どうしたの?」


 店の奥にある厨房から大盛りのナポリタンとサラダを持って出て来たシンヤは、ハルキの前にそっと皿を置きながら声を掛けた。


「聞くだけムダよ。今日は放っておいた方がいいわ」

「そうそう。月に何度かあるアノ日だから」


 ハルキを冷たく突き放すシズルとアルゼフにシンヤは苦笑いを浮かべる。

 昼時の混雑が過ぎたmilky wayの店内には、アルゼフとハルキ以外の客が居ない。

 たまにはそんな日もあるのだが、そんな時に限って誰かが面倒な事になっているものだ。


「アノ日って?」

「聞くかよ!」


 素早く突っ込んだ後で知らないのかよ、と溜息を漏らしながら後頭部を掻き回すアルゼフは、ハテナマークを浮かべたままのシンヤに手招きをした。