不機嫌な君

テンパる私。それを落ち着かせるように私の顔を両手で挟んだ金崎部長。
・・・落ち着くどころか、逆にもっと焦る。

…私達、そう言う関係になったのかな？

…いつ、私と金崎部長は出会ったんだろう？

…昨晩は、確かに悠斗さんと二人で飲んでいたはずなのに。
何でこの場に悠斗さんが居ないんだろう？

‥って言うか、ここは一体どこ？？？

「…今の状況が全く理解できてないって顔だな」
不機嫌な顔のまま呟いた金崎部長。

その通りなのだが、今目の前にいる人が本当に金崎部長なのかも疑わしい。

「…あの、本当に、金崎部長ですか？」
その質問にムッとしたらしく、私はデコピンされた。
痛さのあまり、顔を歪め、おでこを抑えた。

「どこからどう見ても、俺だろうが」
「・・・」

マジマジと見つめると、確かに、貴方は、金崎右近だ。

「…あの、とりあえず一旦起きませんか？…それに、服も着たいです」
…なんとかその言葉を口にする。・・・が。


「別に俺はこのままでも構わない。大体今日は休みなんだから。もう少しこのままでいたい」
…そうかもしれませんが、私は今すぐ服を着たいです。
少しは察してほしいものだ。

「・・あの」
「…なんだ？」
極力顔をそむけ・・・意を決して、核心に迫る。

「私達、その・・・エッチ、しました？」
その言葉に、二度目のデコピンが飛ぶ。
またしてもおでこを抑える。…涙目で。

「何で、そう、何度もデコピンするんですか？！痛いです！」
「お前が、バカな事を言うからだ」
「あ！また、バカって言った！」