不機嫌な君

「…おい、家の鍵は?」
「…ん?ん〜…鞄の中」

「…ない」
気持ち良く寝ている最中に、こんな会話を繰り広げたが、私はただの夢だとおもっていた。

…カーテンの隙間から指す日差しが目に当たり、目を覚ます。

…温かいのに、なんだかスースーする。
…ん?…なんで、下着姿なのかな?

…ん?……この、ゴツゴツした手は、一体誰の?

頭がだんだん冴えてきて、今度は一気に焦りだす。

この、ゴツゴツした手に、私は確かに抱き締められている。…しかも、下着姿で。
…見たくはないが、見なきゃいけない。これは、現実なのだから。

…恐る恐る上を見上げる。
私、悠斗さんとヤッちゃった…後悔の念が押し寄せる。

…ん?…んんんん⁈
貴方は…誰ですか???

…黒い前髪が、微かに目に重なっている。筋の通った綺麗な鼻。瞑る瞳から伸びた長い睫毛。顎のラインもシャープ。

…相当なイケメンですが、貴方は一体誰?

見つめたまま、固まる私。
私を抱き締めたそのイケメンが、目を覚まし、ゆっくりと、目を開けた。

「…起きたか、バカ女」

…その声。…その毒舌。
貴方はもしや…

「…金崎…部長?」
私の言葉に、眉間にしわを寄せた。

…何が、どうなってるの〜⁈