あれは俺が小学四年生のとき。 「お母さん、夜ご飯…………」 「はい。これで買ってきて」 ペチっと、冷たい五百円玉が腕に当たった。 五百円玉で夜ご飯を済ませるようになって、 何ヶ月が経ってるだろう。 仕事から帰ってくると、母はいつも、 すぐにどこかに出かけていく。 どこに行っているのかは、俺は知らない。 でもきっと、男の人のところだと思う。 厚化粧をして、露出度の高い服。 真っ赤なヒールの靴に、真っ赤な口紅。