「鈴野知らなかったの?
太陽、神崎愛子さんって人の事
好きなんだよ。」


その時私だけ時間が止まった。
流れる時の空間に
1人だけ取り残されたように。


「うわ、その顔ウケる。
本当に知らなかったんだ。」


知らなかった。
聞いたことなかったし…。
そう考えたら色々繋がるよね。

人気者の太陽が私なんかと
仲良くするわけないよね。


他に魂胆がある事くらい
考えたらすぐにわかるじゃん。


え…。
じゃあ妊娠検査薬ってー…。


「だから太陽はあんただから
喋ってんじゃねーよ。
愛子さんの知り合いだから喋ってんだよ。」


力が抜け、手はだらりとたれた。

顔はもう自力では起こせない。


「行こ。これであいつもわかったでしょ。」


立ち去る彼女達の姿を見ても
私は追いかけられなかった。


そっか。
やっぱり人って利用するしかできないんだ。