みなとは、ゆっくりと振り返り、少し距離を取ってから、私の頬を両手で挟んだ。 その黒い瞳に吸い込まれそうになりながらも、負けじと見つめ返す。 胸が、ドキドキする。 「なぁ…あんまり可愛いことするなよ」 「っ、」 そっと耳元で囁き、ニヤリと余裕の笑みを浮かべて、おでこにチュッと小さなキスをした。 「ず、るいよ…」 そんなことしたら、また、私の想いが加速してしまう。 きっと、みなとは気付いている。 私の恋心に。 知ってて、こんなことをしているのだ。 彼は悪魔だ。