みなとは、私を押し退けてソファから起き上がった。
そして、側にあるテーブルの上に置いてあった、白いファイルを手に取り、私に差し出した。
「なにこれ?」
起き上がって中を開くと、
「っ!!!」
たくさんの文字の羅列に、公式。
参考書…?
驚いて見上げると、口角を上げて悪戯に微笑む姿があった。
「それ、さっきパソコンで作ったやつ。同じ大学に行きたいんだろ?大学の入試の傾向を考えて作った専用の参考書だ。勉強に使え」
なにそれ、嬉しすぎるよ。
涙が目に溜まってゴシゴシこすると、その手を掴んでがんばれよ、と笑った。
こういうところに、惚れたんだ。
なんだかんだいって、結局私のことを考えてくれる。
心が暖かい。
「ありがとう」
「ん」
ファイルを抱きしめて涙ぐむ私は、その場から動けなかった。
後で、肩でも揉んであげようかな。
こんな量のプリント、相当疲れただろうな。
みなとは、キッチンへ行き、いつものコーヒーを沸かした。
いつも嫌いなこの香りは、今はなぜか心地よい。
この部屋の空気も、柔らかい。
