もしかしたら、水樹だってもっと俺が問い詰めれば教えてくれたかもしれない。


俺が沙菜の家にもっとしつこく行ってれば、沙菜の親が教えてくれたかもしれない。


でも、沙菜が望んでいないことなら・・・


そんな言い訳をつけて、沙菜と向き合うことに目を背けた。


それからまた一週間という時間がたった。


今日は学校が休みで家でぼーっとしていた。


一日中そのままで、気付いた時にはともうあたりが暗くなってきていた。


外に出たって何もすることがないし、何かやる気が起きるわけでもなかったから、ずっと部屋に籠っていた。


―コンコンー


「昂にい。入るね」


俺の部屋のドアをノックし入ってきた美羽。


「どうした?」


「・・・さっき、沙菜ねえに会ったよ」


「どこで?」


「・・・昂にいと、沙菜にいがよく二人で行ってた公園。久しぶりに沙菜ねえの姿見たから、
声かけたの。そしたらね・・・沙菜ねえ、一瞬、一瞬だけだったけど、私のこと、不思議そうに見たの。私は何も変わってないから、なんだろうって思ったんだけど・・・。昂にい、行かないの?」


「俺は・・・


「最近、昂にい変だよ。覇気がないっていうか・・・。沙菜ねえと会えてないからでしょ?」


「美羽にはわかっちゃうんだな」


「あたりまえだよ・・・。だって、兄妹でしょ?」


「・・・美羽。俺・・・


「いってらっしゃい。沙菜ねえによろしく」


「・・・おう」



まだ少し肌寒いと思い、一枚tシャツの上からパーカーを着て家を飛び出した。


ただ、ひたすら走った。