そんな私にやっと気付いたのかお父さんとお母さんがリビングから出てきた。


二人は私の手にある、推薦状と手紙をそっと取り、二人で読み始めた。


読み終わったあと、二人は一度顔を合わせ、二人とも俯いてしまった。


そんな二人を見て、私は口を開いた。


「・・・本当はね、私、お母さんもお父さんも大好きだよ。でも・・・私、ここを離れたくない。」


千里たちがいるあの学校も。


この優しくて大好きな土地も。


・・・昂のそばも。


「離れたくないんだよ‼」


「「沙菜!」」


私は自分の部屋に駆け込んだ。


いいことに私の部屋は内側から鍵を掛けれる。


私はそのほとんど使うことのなかったカギをかけ、ベッドになだれ込んだ。


二人が私を叫ぶように呼んだけど、今の私には何も聞こえない。


枕に顔を伏せ、耳をふさいだ。


何も聞きたくない。


だれか・・・たすけて。