初恋の君は俺を忘れてしまいました。

お母さんも今日も帰りが遅くなるって言ってたし、単身赴任の父がこんな平日に帰ってくるわけがない。


もしかして、先生が二人に連絡した?


でも、仕事中は電話にはでないはず・・・。


「お前のせいでうちの仕事場にまで電話がきたよ。ちょうど大事な会議だったのに・・・。奥さんがでないので。なんて言われてしまったよ。電話くらい繋がるようにしときなさい」


「最近、全然こっちに帰ってこないと思って黙ってたら・・・なんであなたにそんなこと言われなきゃいけないのよ。沙菜のことはほとんどノータッチで少しもお父さんらしいことしてあげてないじゃない」


そう、お父さんの単身赴任が決まったのは十年前。


私が小学校に入る前だった。


私が病院に通い始めるくらいに、私から逃げるように行ってしまった。


「俺は、沙菜のために一生懸命働いてるんだ。しょうがないだろ。今度、S県に新店舗が出るからそこも任されて今、すごく仕事がのってっるんだ」


「S県?」


「そうだが。」


「私、ちょうど一時間くらい前に先生から連絡きたの。大学病院を進められたわ・・・S県の」


・・・え?