俺と水樹は顔を見合わせ、人混みへ全力で走った。


数メートルだったが、とても遠く感じた。


人混みをわけ、やっと真ん中へ入ることができた。


そこには・・・


仰向けで倒れている沙菜と、沙菜に寄って泣いている千里の姿があった。


俺は、沙菜の膝と腰に手を回し、抱き上げる。


お姫様だっことでも言うのか。


だが、今は人の目を気にしている場合ではない。


俺は全力疾走で保健室へ向かった。


保健室で沙菜をベッドへ寝かせ、その隣の椅子へ腰かけた。


保健室の先生には何度も教室へ戻れと言われたが、先生が職員室へ呼ばれたこともあり、沙菜
に寄りそうことができた。


先生が言うには、ただの貧血らしいが、俺は沙菜の毎週の病院通いに何か関係があるんじゃないかと、疑いが晴れなかった。


今の沙菜はただ、寝ているように見える。


沙菜。


お前は俺に何を隠しているんだ?