私は昂の後ろに乗ることに最初も、今も、まだ少し周りの目が気になるが、昂は気にならないらしく、平然と自転車を漕いでいる。


昂の自転車はとても安定していて、とても安心できている。


と、言うより、昂は私に気を使って安全運転してくれているのだろう。


風にふかれながら空を見上げる。


私はこの空を忘れないことができるだろうか。


私は急に不安になって、昂の背中におでこをくっつけた。


かすかに昂の心臓の音が聞こえる。


―トクッ・・・トクッ・・・―


昂は一瞬不思議そうに動いたが、気になってはいないらしい。


私は昂の心臓の音を聞きながら目を閉じた。


決めたんだ。


今を大切にするって。


学校につくと、私は昂の荷台からおりて、隣を歩く。


「自転車おいてくる」


昂はそういい、駐輪場へ入って行った。


「まってろ」とは言わない。


でも、いつも私は靴箱で靴を履きかえて待っているようにしている。