「‥‥うっ‥ひっく‥‥ぁ‥」
抱きしめられた時の温度、声、キスの仕方‥‥全てを元彼と重ね合わせてしまう。
目を閉じると元彼と一緒にいるみたいなのに、現実はそうじゃない。
もう私の側にはいないんだ‥‥そう思うと涙が止まらなかった。
「結ちゃん?‥大丈夫?」
彼の心配をよそに、私は泣き続けた。
だめだ‥。
こんな事をしても私の心は埋まらない。
やっぱり、元彼じゃなきゃだめなんだ。
どこかで分かってたけど‥改めてその思いを感じさせられた。
「‥すいません、大丈夫です」
元々そんなに心配しなかったのだろう。
私がそう呟くと、目の前の男はまた行為を再開し、結局最後まで手を止める事はなかった。
「何があったのは分からないけど、辛かったらまた連絡しておいで。すぐ会いに行くからさ」
「急に泣いちゃってすいません。じゃあ、失礼します」
ホテルを出ると、外はもう暗かった。
夜道は私の心を一層寂しくさせる。
「‥‥うっ‥ぁ‥‥うわー‥ん‥」
周りに人がいても関係ない。
私は大声で泣きながら家に帰った。
今日の彼に連絡をとることはもう二度とないだろう。
会ってもどうせ今日と同じ事を求められるだけ。
出会い系なんかに手を出すんじゃなかった‥。
たった1回遊んだだけで、私の心も身体もすごく汚れた気がしてならなかった。
極度の後悔に襲われた私は、泣き止む事なく眠りについた。
