君愛ーきみあい



「やっぱりまだ早かったなー。藍川寒くない?」


「少し寒い..です」



まだ4月というのに、寒くないわけがない。

さっきからずっと鳥肌がたってる。


「ハハッ、だよな。車戻るか」


そう言って戻って行く先生に何も言わずについて行く。




ブブブッ...


車に戻ると、私の携帯が震えた。


あ、陸からライン。


____来ねーの?


やばっ、陸に連絡するの忘れてた。


ごめん、行けなくなった


そう打とうとラインを開いた。


「もしかして、彼氏?」


「え!?見てたの?」


運転席から身を乗り出すように画面を覗く先生。


「彼氏じゃないです..」


「ん?じゃあ友達?」


セフレなんて言えるわけない。

私は何も答えずに携帯を閉じた。



「藍川ー、俺は前のお前の方が好きだなー。なんてね」


前の私...?


この人はいつの私と比べてるの?


見た目も口調もそんな変わってないのに。


汚れた心は、外見までも汚してしまうのだろうか。