君愛ーきみあい



「ね、ねぇ!先生..いったいどこへ..」


「ドライブって言っただろ?大丈夫、少し走らせるだけだし」


先生はいつもと変わらない笑顔を向けてくれた。

さっきまで強く握られていた腕は、気づくと優しく繋ぎ直されている。

表情も口調も優しい。

でも..そんな先生も、今までの人達と同じように男なんだ。

こうやって近づいてきたのもきっと...。


今度はちゃんと断る事が出来るだろうか。

流されずにすむだろうか。


ドライブを口実にいつホテルに連れて行かれるんだろう。


私はそればかりを考えていた。


「まだ少し早いけど、海でも行ってみる?」


「どこでも..良いです」


海か...。


海ではしゃいで濡れて....それを理由にホテル。

そんな所だろうか。




あぁ..いつからこんなに汚れてしまったんだろう。

まだそうと決まったわけじゃないのに、身体を求められる事ばかり想像してしまう。