第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~

「さぁ!皆も自己紹介してよ。」


ギフトが俺達に言う。
気は乗らないがしないわけにもいかない。


「俺はセルリア。宜しく...白虎さん...?」


〝白ちゃん〟なんて俺には言えなかった。
抵抗感が何とも言えない。
はっとした表情で白虎が俺を見る。


「セルリア...もしかして『狂人』!?」

「勝手に呼ばれているだけだ。」

「ヤダ!有名人じゃない!!何で連絡してくれなかったのよ!」


白虎がギフトに頬を膨らませて言う。
ギフトは笑いながら、心にもない謝罪を述べる。
続いてディーブが自己紹介を始めた。


「...ディーブ。」


俺の背後に隠れつつコートを掴んだ状態での自己紹介。
初対面の人間が苦手なのは知っているが、隠れるな。
せめて俺の前に出てくれ。


「可愛い子ね!!いくつなの?」


白虎がディーブと視線が同じ高さになるように、しゃがんで問いた。
ディーブは更に俺の後ろに隠れながら、小さな声で答えた。


「...13。」

「13歳でこっちにいるの!?こんな事余り言っちゃ駄目だけど、凄いわね。」


そう言ってディーブの頭を撫でた。
白虎が立ち上がるとサラフィリアの方を向いた。


「最後は貴女ね。」


サラフィリアは片手で頭を掻きながら自己紹介を始めた。


「ウチはサラフィリア・マークや。」

「指名手配犯じゃない。今日は素敵な日ね。有名人が2人も来るなんて、」


そう言って白虎は微笑んだ。