第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~

あれから俺は絡まれる事も無く、無事移動することが出来た。


「此処だよ。」


ギフトが示す場所は、静かな喫茶店のような店だ。
店名は『妖狐』。
此処があの『九尾の道楽』なのか...。
俺には想像がつかなかった。
ギフト(ドールも)が店のドアを開ける。


「白ちゃん〜!!いるかい?」


店の奥から足音が近付いていた。
出て来たのは、見たことの無い衣装(多分女物)に見を包んだ髪の長い男だった。

何故俺が男だと認識できたか...そんなもの簡単だ。
人を殺し続けてきた事が大きいと思うが、多分人体をよく理解している人間ならば誰でも解る。
人体のラインだ。知っていれば解る本当に簡単なものだ。
男と女では人体のラインが違う。その違いを見分けることが出来れば、性別など簡単に解る。

別に今回はこれが重要ではない。
重要な事は、何で女物と思われる服を着ているかだ。


「あら〜、ギフトちゃんにドールちゃんじゃないの!久しぶり。」

「久しぶり、白ちゃん。」

「白ちゃーん!久しぶり!!」

「他の人達は皆初対面ね。私は『妖狐』店主、白虎(ビャッコ)よ。〝白ちゃん〟って呼んでね。」


ウインクをしながら、白虎と名乗った人は言った。