第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~

ギフトの案内でセルルート通りに来た。
ある程度俺も覚悟していたんだが、正直逃げたい。

俺は自称ファンと言う者達に、囲まれていた。比率的には女が多いが中には男もいる。
俺、ディーブ、ギフト、ドール、サラフィリアの5人で行動しているのだが、明らかに俺だけが身動きが取れない。

本音を言うのなら、全員殺してしまっても構わないが、処理が面倒臭い。
それにまだ日が沈んでいない。人目に付く事は出来るだけ避けたい。
遠くからギフトの声が聞こえる。


「モテモテだね〜!!」

「嬉しくねぇーよッ!!!ぶっ殺すぞッ!!」


走って逃げたいのだが、この通りは少し狭い。
つまり、充分な逃げ道を確保する事が出来ないという事だ。
よりによって、この忙しい時に...。
俺は我慢の限界だった。


「手前等ッ!!!退きやがれ!!俺は取り込み中なんだよッ!!」


声を張り上げて怒鳴った。
すると、自称ファン共がギフト達の方に続く道を作ってくれた。


「「「「「「「狂人様!お通り下さい!!」」」」」」」


これは、何なのだ...。
俺は理解するまで顔が引き攣ったままだった。