第1巻 Sicario ～哀しみに囚われた殺人鬼達～

セルルート通り。
それは、此処キハウズ通りからさほど遠くない通りだ。

だが一般人はまず寄り付かない曰く付きの通り、簡単に言うなら俺達みたいなのがのさばっている。無法地帯と言っても過言ではない。

俺も余り其処へは寄り付かない。殺させる可能性はまず無いが、色々面倒なのだ。
何度か気ままに訪れたことがあったが、何故か人だかりが出来た。

ファンです、とかなんとか言ってきて...。
殺人鬼にファンがいるってどういう事なんだ。当時の俺は、酷く混乱した。
ギフトに聞いたところ、俺は『狂人』という異名を付けられているらしい。

何故俺だと認識出来たのかも尋ねてみた。
その答えを聞いた時は思わず飽きれたよ。
ギフトが俺の容姿的情報をばらまいていたからな。

その情報に多額の金額をつけて、だそうだ。
それでもよく買ったものだ、其の情報を...。
それで俺は裏世界でのトップスター的存在らしい。
迷惑な話だ。


｢セルルート通りなんか行って、如何するんだ?｣

｢嗚呼、君等には紹介していなかったね。裏世界の支配人を...。｣


ギフトの目が細くなる。
裏世界の支配人...。
話だけなら何度か聞いたことがある。
オークション、人身売買、裏世界での流れを創っている存在。
...『九尾の道楽』又の名を、『裏世界の支配人』
そんな大物と繋がりがあったとは、一体何者なんだよ。ギフトは...。