第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~

「それで如何して僕の元に?君には僕よりずっと良い人材がいるだろ。君の中に...。」

「ケビンは世間について疎い。ディーブは興味すらない。ギフト...お前が1番適材なんだよ。何事に対しても興味を持ち、自身に取り入れ続けるお前がな。」


ギフトの口角が上がる。
何時もその表情を崩さないギフトからは、思考を何1つ掴めない。
何を思い、何を考え、何を言葉にするのか。
その一切が読めない。実に嫌いなタイプだ。


「随分口達者になったね...。ケビンの知識か...。」


目を細めてギフトが告げる。
俺は何も言わない、つまり沈黙だ。
そして、沈黙とはすなわち...肯定。

俺とケビンは記憶の共有が可能だ。それは知識もまたしかり。
俺が素のままギフトい挑んでも、遊ばれるのがオチだ。

なら、何をするか...簡単な事。使える物は全て使うだけだ。


「君が、其処までして如何にかしたい事か...。良いね、興味が湧いた。ディーブ!僕の拘束を解いて!!」


予想斜め上の事態だ。
苦戦を強いられると踏んでいたこの交渉は、いとも簡単に終わりを告げた。

しかも興味を抱いたところが、俺がケビンの知識を使っていた事とは...。
溜息がでたのは、言うまでもない。