第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~

そうこう考えている間に、ギフトが拘束されている部屋に辿り着いた。
ディーブがノブに手を置き、ドアを開ける。

部屋の中には、当然の如くギフトが拘束されていた。


「3人も来るなんて、如何したんだい?おや、1人は知らない足音だね。」

「お前の知恵をかりにきた。」


俺はそう言ってギフトの枕元に足を進めた。
単純計算で軽く3週間近くは拘束されているであろう、ギフトの笑顔は健在だった。
よく笑っていられるものだ。
俺には全く理解できない、理解しようともしないけどな。


「まさか君からそんな台詞が聞けるとは...相当な事なのかな?」

「指名手配犯のサラフィリアを連れてる。世間が静かになるまで、何処かに保管したい。」

「ちょ!ウチってそういう扱いなんか!?」

「ちょっと黙ってろ。それとも、下顎外してやろうか?」

「わ、解ったから...怖ぇこと言うなし。」

「セルリアのお墨付きにでもしたのかい。」


煽り口調でギフトが俺に言う。


「なわけあるか。此奴は俺が殺るんだよ。世間が静かになった後でじっくりとな...。」


サラフィリアがディーブの背後に隠れる。
本当、電車内の時の威勢の良さは何処にいったんだよ。