第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~

俺は急いで立ち上がるとディーブを背負い、サラフィリアの手を引いて、電車の進行方向とは反対の方向へ走った。
幸い電車はそんなに走ってはいなかったので、駅は遠くに見えていた。


「ちょ、早いって...」

「ちゃんと走れ!!」


俺のスピードについてこれないサラフィリアが、根を上げる。
電子内にいたときはもっと元気だっただろうが。

俺は半ば無理矢理走り続けた。
駅に着いた頃には俺もサラフィリアも息が上がっていた。


「ハァ...ハァ...、流石に...きついな...。」

「ウチ...吐きそう...。」


サラフィリアが口元に手を当てて、蒼白い顔で言った。
そこで吐くんじゃねぇーぞ。
俺達はヘトヘトになりながら、駅を後にした。