第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~

道中にコンビニを見つけたので、俺達は小さなお菓子を1つずつ買った。
俺はミント味のガムで、ディーブは棒付きキャンディ(いちご味)だ。
ディーブは大事そうにキャンディを右手に持って、左手では俺の右手をしっかりと握った。
転ばれたら危ないからな。

駅に着くと、サウリリス街行きで時間が1番早い切符を買った。
電車が到着すると人混みで離ればなれにならない様に、ディーブを俺の近くに引き寄せた。
ディーブは背が小さいので、人混みの中に埋もれていて手を握っている俺ですら、その姿を認識出来ない。

電車が発車する前に乗り込まなくてはならないが、このままでは乗り込めそうにない。
俺は仕方が無いのでディーブを子供抱きすると、人ごみを掻き分けて電車の中に入った。

乗車すると直ぐに空いている席に座った。
これから3時間近くこの電車に乗らなくてはならないのだ。席を確保しなくては足が死んでしまう。
それにディーブが立ったまま電車をやり過ごせる筈がない。何処かへ転がってしまう。

席を確保したのはいいが1人分しか獲得することが出来なかった。俺は今だに抱きかかえているディーブを膝の上に座らせた。
勿論、落ないようにディーブの腹の前で腕を組んだ。