第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~

何故買い物の事など俺に言うのか、解らない。
行きたいのなら行ってくれば早い話だ。わざわざ俺に言わなくてもいいのに...。其れともなんだ、変な薬の売買か。13歳でこっち側にいるんだ。其れ位の事はあるのかもしれない。

生憎俺はそういう難しい事解らないけどな。
口ごもって何も言わないディーブに、俺は溜息を吐いて頭を掻いた。


「言わねぇーと解んねぇーって...買い物が如何したんだ?」


ディーブは髪を握っていない手で、顔を隠した。
一体なんだと言うのだ。何か重大な事なのか。
か細い声が耳の中に入ってきた。


「...連れてって」

「プッ...」


思わず俺は吹き出してしまった。
13歳にもなった奴がまさか、買い物に連れて行ってなど言うと誰が予想しただろうか。

笑い声をあげないように、肩を震わせながら声を殺す。
ディーブは俺の反応が相当不満だったのか、再び髪の毛を引っ張った。
先程よりも強く引っ張られた為、俺は笑いどころでは無くなった。