side:マロン
平凡とした昼下がり、この国では冬になりはじめている。
特に大きい事件も起きず、暇を持て余しているあたしは、自身のデスクに頭を置いた。
隣で飽きもせずにPCイジっている先パイは、何時もの険しい表情であたしを見る。


「業務中だろ。」

「暇なんっスもん!しゃーないじゃないっスかー。」


デスクに頭を置いたまま先パイの方を向く。
何でそんなにクソ真面目なんすっかね。


「仕事に暇など無い。それと、デスクに頭を置くな。」

「仕事人間の先パイには、この気持ちは解んないっスよ。」


先パイがあたしの頭を叩く。
流石屈強な体の持ち主なだけあって、相当痛い。
あたしは声にならない声をあげつつ、叩かれた患部を両手で押さえた。


「痛いじゃないっスか!もうちょっと優しくしてくださいっスよ!!」


若干涙目になりつつ、あたしは先パイに言った。