side:ケビン
久しぶりの自分の体は、本当に自分のモノかと疑う程身軽だった。
自身の視覚から感覚神経を経由し脊髄、脳と順に情報を伝えてくれる。

眼前には、まだ2、3回しか会ったことのないギフトさんとディーブ君がいた。
セルリアと記憶を共有できる僕は今回の依頼の手強さを知っている。


「...共通点を見つければいいんですよね?」

「是非お願いしたい。悔しいけど僕は解らなかったんだ...。衰えたよ。」


ギフトさんがそう言って微笑む。
そんなに謙遜しなくても、僕はギフトさんは十分頭が良いと思うんだけどな。
僕も微笑み返すと、早速この依頼について考えた。

残念ながら僕は長時間自分の体を扱えない。頑張っても半日が良いところだ。
精神的に弱い僕は無意識にセルリアに頼っている傾向の現れなのかもしれない。
余計な事を考える時間は無い。

今回の依頼について、整理しよう。
この依頼のターゲットは顔を自在に変えられる。セルリアの記憶ではそう記憶されている。
顔を変えられるか...。性別は関係あるのだろうか。男女関係なく顔を変えられるとするなら、どんな可能性が見えてくる?

今日接触した人物でターゲットの可能性がある者はあるのか?
第一、浮気をだけで殺すという感情まで辿り着くのか?
考えるんだ。

冷静に、情報を、1つずつ、手に取って、全てに繋がる、綺麗な糸を、見つけるんだ。


「あの...すいません。ターゲットは外見だけを、変えれるんですよね...?」

「そうだよ。それがどうかs...」


ギフトさんが手に持っていたティーカップを、床に落とした。