自分の椅子に座ると、濡れている髪の毛をバスタオルでまとめた。
ホッとミルクを飲み干すと、ギフトとディーブに視線を移した。


「ターゲットの検討はついたのか?」

「それが全く」


お手上げでも言いたげに、ギフトは両掌を上に向けて肩を上げた。
マジかよ...。俺は溜息を吐かずには、いられなかった。
ディーブはただひたすらに、俺を睨みつけている。
俺が考えてないからって、そんな顔するなよ。


「一体何が共通してんだろうな...。」

「それが解ったら、僕は苦労なんてしないよ。」

「...ケビン。」


ディーブが俺を睨んだままそう言った。
ギフトもハッとしたように、俺の元に駆け寄ってきた。
俺の頭を両手で掴んで前後に揺らす。


「その手があったじゃないか!!!早く変わるんだ!!はーやーくー!!!!」

「わ、解ったか、ら...ゆ、揺ら、すな」


そう言うとギフトは俺の頭から手を離した。


「ケビン出てくるか、解んねぇーからな。」


前置きでそう伝えておく。
目を閉じて少し眠る。眠っている時に俺はケビンとよく会う。
今回も何時も通りケビンに会うことが出来た。

出会った時から何も変わっていない。髪が長く、女っぽくて気が弱い...。〝あいつ〟が重なって見える。


“少しだけ出れるか?”


俯きかげんのケビンに言う。


“少しなら...なんとか。”

“なら頼むわ...今回は手強いらしいからよ”

“...うん。”


そこまで話すと、俺の意識は自然と無くなっていった。
ただ、凄く心地い事は何となく解った。