「この奥に、白ウサギがいる。」
「奥って...地下じゃねぇーか。生きてんのか?」
「白ウサギは、原作者のお気に入りだから、人目の付かない所に置いているの。」
「そんなの...酷いっス!人間なんっスよ!!モノじゃないんっスよ...!!」
ドールの腕の中でマロンが言った。
怒っている事は目に見えて明らかだ。理解出来ない。
白ウサギはマロンではないのに、何を身を震わせて怒る必要があるのだ。
「何怒ってんだ?」
「何って、解んないんスか!?白ウサギって人が可哀想と思わないんスか!!」
「...だから、其れの何処に怒る必要があんだよ。会った事も無い相手だろ。」
マロンは上半身を乗り出して俺の襟を掴んだ。
「冷たい人間っスッ!!!」
俺は黙ってマロンの手を襟から離した。
キースが俺が殺らかさないかと警戒している。ガキと公爵夫人は話に入ってくる事が出来ず黙って俺見ている。
黄色でもなく橙色でもないマロンの瞳を見透かす。
マロンの瞳に俺の碧色の瞳は如何映っているのだろうか。
「だから何だ?俺が冷たいからなんだ?其れでお前は如何なるんだ?怒りが収まらないのか?だったら何だ、俺を殺すか?そうしたら気が済むか?
...目先の事に囚われてんじゃねぇーぞ。
今可哀想だとか酷いとか言ってる場合じゃねぇーんだよ。
閉じ込められてるから何だ?生きてるだけマシだと思え。
死んだ事も無い癖に、言ってんじゃねぇーよ!!
......ガキ、案内しろ。」
俺は踵を返して地下へ通じる階段へ向かった。一瞬戸惑いながらも先頭をガキが歩き始めた。
マロンの声は返ってこない。其れは有り難い事だ。
暗闇が続くと思われた地下への階段は、頼りない蛍光灯が段を照らしており、幾分か歩き易くなっていた。
数分が経ち少し広い間へ辿り着いた。
あれからマロンは口を閉ざしたままだ。
心底如何でも良い事だ。
階段から一番離れている場所に扉がある。
其の扉には俺でも解る程、明ら様にセキュリティロックが掛けられていた。
わざわざ地下に隠しているくらいだ。予想出来なかった訳ではない、相当大事にされているくらい目に見えて解る。
分厚そうな鉄製の扉は、手持ちの武器で如何こう出来る程甘くはない。
突然、上から足音と誰とも知れぬ声が聞こえてきた。
全員其れは聞こえていたようで、皆一斉に階段へと目を向けている。
キースが階段へと向かう。
「おい!!何処行く気だ!!!」
「解っているだろ。応戦する。
恐らく奴等は伯爵の手下だ。このまま何もしない訳にはいかない。」
「殺すのか?」
俺の問いにキースは顔を歪めて
「...あぁ」
と、言った。
キースが上へと行った。
どさっと何かを落とす音とマロンの呻き声が聞こえた。
其方へ目をやるとドールが瞳孔を見開いて、キースが行った先を見つめていた。
「奥って...地下じゃねぇーか。生きてんのか?」
「白ウサギは、原作者のお気に入りだから、人目の付かない所に置いているの。」
「そんなの...酷いっス!人間なんっスよ!!モノじゃないんっスよ...!!」
ドールの腕の中でマロンが言った。
怒っている事は目に見えて明らかだ。理解出来ない。
白ウサギはマロンではないのに、何を身を震わせて怒る必要があるのだ。
「何怒ってんだ?」
「何って、解んないんスか!?白ウサギって人が可哀想と思わないんスか!!」
「...だから、其れの何処に怒る必要があんだよ。会った事も無い相手だろ。」
マロンは上半身を乗り出して俺の襟を掴んだ。
「冷たい人間っスッ!!!」
俺は黙ってマロンの手を襟から離した。
キースが俺が殺らかさないかと警戒している。ガキと公爵夫人は話に入ってくる事が出来ず黙って俺見ている。
黄色でもなく橙色でもないマロンの瞳を見透かす。
マロンの瞳に俺の碧色の瞳は如何映っているのだろうか。
「だから何だ?俺が冷たいからなんだ?其れでお前は如何なるんだ?怒りが収まらないのか?だったら何だ、俺を殺すか?そうしたら気が済むか?
...目先の事に囚われてんじゃねぇーぞ。
今可哀想だとか酷いとか言ってる場合じゃねぇーんだよ。
閉じ込められてるから何だ?生きてるだけマシだと思え。
死んだ事も無い癖に、言ってんじゃねぇーよ!!
......ガキ、案内しろ。」
俺は踵を返して地下へ通じる階段へ向かった。一瞬戸惑いながらも先頭をガキが歩き始めた。
マロンの声は返ってこない。其れは有り難い事だ。
暗闇が続くと思われた地下への階段は、頼りない蛍光灯が段を照らしており、幾分か歩き易くなっていた。
数分が経ち少し広い間へ辿り着いた。
あれからマロンは口を閉ざしたままだ。
心底如何でも良い事だ。
階段から一番離れている場所に扉がある。
其の扉には俺でも解る程、明ら様にセキュリティロックが掛けられていた。
わざわざ地下に隠しているくらいだ。予想出来なかった訳ではない、相当大事にされているくらい目に見えて解る。
分厚そうな鉄製の扉は、手持ちの武器で如何こう出来る程甘くはない。
突然、上から足音と誰とも知れぬ声が聞こえてきた。
全員其れは聞こえていたようで、皆一斉に階段へと目を向けている。
キースが階段へと向かう。
「おい!!何処行く気だ!!!」
「解っているだろ。応戦する。
恐らく奴等は伯爵の手下だ。このまま何もしない訳にはいかない。」
「殺すのか?」
俺の問いにキースは顔を歪めて
「...あぁ」
と、言った。
キースが上へと行った。
どさっと何かを落とす音とマロンの呻き声が聞こえた。
其方へ目をやるとドールが瞳孔を見開いて、キースが行った先を見つめていた。


