「あの、私急いでいますので...。」
「ごめんっス...。」
漸くマシンガントークが終わると、私は先へ急いだ。
だが、ルヴァルトが私の手首を掴んだ。ラドンと言いルヴァルトと言い、一体なんのつもりなんだ。
「聞いていませんでしたか。急いでいます。」
「今度一緒にお茶しようっスね。」
貴女とお茶など交わしたくない、そう思いながら私は腕を振り払った。
ルヴァルトの残念そうな顔が見えた。後日謝れば良いだろう。
もとい私はマスターと大佐と先生以外の人間には興味が無い。
でも、マスターが色々教えて下さったから、其れを生かさなくては...。
マスターに頭を撫でて貰いたいし...。
いやいや、私は何を考えているのだ。そんな無粋な感情をマスターは持ち合わせていない。
マスターが最初に仰っておられたではないか。変に期待するな、マスターが私に求めているモノは絶対的な忠誠だけだ。
調整局の正面入口から出ると、先程ルヴァルトに握られた手首の袖を見た。
黒いスーツを着ているので、目を凝らさなければ見えないが、小指の爪の半分程の大きさの発信機が取り付けられていた。
恐らくラドンの指示だろう。
本当にマスターの事を疑っているのか。でもマスターは演技が上手いし、証拠も残さない。まさか勘だけでマスターを疑っているとでも言うのか。
私は発信機を握り潰すと、地面へ落とし足で踏み潰した。
「マスターの邪魔者は嫌いだ。」
電車で約2時間30分揺られ私はマスターが住んでいるキハウズ通りへ足を踏み入れた。
何時もはマスターが手配して頂いたアパートに住んでいる。私はマスターと一緒に居るより、離れていた方が怪しまれないし、扱い易いとマスターが私に仰ったのだ。
私は寄り道することなくマスターのいる『Sicario』へ向かった。
街灯だけが照らす街道、人影は全く見えなかった。
当然の事だろう。この国で夜道を歩くのは仕事を終えた一般国民か、物乞い、ホームレス、そして...殺人鬼だけだ。
マスターも殺人鬼の一種に入ると思うが、野蛮な殺人鬼と一緒にしてもらっては困る。
マスターはもっと気高く聡明なお方だ。手を伸ばしても届かない程、儚く朧気でだけど其の影響は何よりも大きい。
そんなお方だ。
「1人だとつい余計な事を考えてしまう...。」
「たまには頭を休めないと、破裂してしまうよ。」
「っ...!?」
背後からだ。考え過ぎて周りが見えていなかった。
マスターに以前注意された事なのに...。
私は背後を振り返りながら、声との距離を開いた。
「反応が早いな、なぁ三日月ウサギ。」
「君が背後から声を掛けたから驚いたんだよ!!もっと普通に声を掛けようじゃないか!!なぁ眠りネズミ!!?」
「...ん?ん〜...、そうだね...。」
三日月ウサギ、眠りネズミ...此奴等『不思議の国』の御茶会(ティーパーティー)か。
バッグの中にあるUSBは死守しなくては...。
「ごめんっス...。」
漸くマシンガントークが終わると、私は先へ急いだ。
だが、ルヴァルトが私の手首を掴んだ。ラドンと言いルヴァルトと言い、一体なんのつもりなんだ。
「聞いていませんでしたか。急いでいます。」
「今度一緒にお茶しようっスね。」
貴女とお茶など交わしたくない、そう思いながら私は腕を振り払った。
ルヴァルトの残念そうな顔が見えた。後日謝れば良いだろう。
もとい私はマスターと大佐と先生以外の人間には興味が無い。
でも、マスターが色々教えて下さったから、其れを生かさなくては...。
マスターに頭を撫でて貰いたいし...。
いやいや、私は何を考えているのだ。そんな無粋な感情をマスターは持ち合わせていない。
マスターが最初に仰っておられたではないか。変に期待するな、マスターが私に求めているモノは絶対的な忠誠だけだ。
調整局の正面入口から出ると、先程ルヴァルトに握られた手首の袖を見た。
黒いスーツを着ているので、目を凝らさなければ見えないが、小指の爪の半分程の大きさの発信機が取り付けられていた。
恐らくラドンの指示だろう。
本当にマスターの事を疑っているのか。でもマスターは演技が上手いし、証拠も残さない。まさか勘だけでマスターを疑っているとでも言うのか。
私は発信機を握り潰すと、地面へ落とし足で踏み潰した。
「マスターの邪魔者は嫌いだ。」
電車で約2時間30分揺られ私はマスターが住んでいるキハウズ通りへ足を踏み入れた。
何時もはマスターが手配して頂いたアパートに住んでいる。私はマスターと一緒に居るより、離れていた方が怪しまれないし、扱い易いとマスターが私に仰ったのだ。
私は寄り道することなくマスターのいる『Sicario』へ向かった。
街灯だけが照らす街道、人影は全く見えなかった。
当然の事だろう。この国で夜道を歩くのは仕事を終えた一般国民か、物乞い、ホームレス、そして...殺人鬼だけだ。
マスターも殺人鬼の一種に入ると思うが、野蛮な殺人鬼と一緒にしてもらっては困る。
マスターはもっと気高く聡明なお方だ。手を伸ばしても届かない程、儚く朧気でだけど其の影響は何よりも大きい。
そんなお方だ。
「1人だとつい余計な事を考えてしまう...。」
「たまには頭を休めないと、破裂してしまうよ。」
「っ...!?」
背後からだ。考え過ぎて周りが見えていなかった。
マスターに以前注意された事なのに...。
私は背後を振り返りながら、声との距離を開いた。
「反応が早いな、なぁ三日月ウサギ。」
「君が背後から声を掛けたから驚いたんだよ!!もっと普通に声を掛けようじゃないか!!なぁ眠りネズミ!!?」
「...ん?ん〜...、そうだね...。」
三日月ウサギ、眠りネズミ...此奴等『不思議の国』の御茶会(ティーパーティー)か。
バッグの中にあるUSBは死守しなくては...。


