目を覚ますと眼前に広がったものは、目を疑うような化け物共だった。
何だ此処は...何者なんだ、この化け物共は。
恐ろしい、怖い、恐怖が込み上げて涙腺が緩む。
このままでは殺される、この化物共は俺を殺すんだ。
殺さなきゃ、殺して逃げなければ...。
殺される...もう死にたくない、2度と死にたくない。
俺はコートのポケットから、ナイフを瞬時に取り出すと、目の前に立っている青い化け物に切りつけた。
青い化け物は俺のナイフを片手で受け止めると、ナイフを握っている手の手首に青い化け物の手の側面を打ち付けた。
衝撃で俺の手からナイフが落ちる。
俺は受け止められた青い化け物の手を掴むと、座っていた椅子から立ち上がり青い化け物の胸元に入り込み、胸倉を掴みとった。
其処から反転し青い化け物の胸板と俺の背中が密着する形になる。前方に体を倒し、青い化け物の体を俺の背中に乗せ其のまま投げ落とす。
地面に落ちたナイフを手を取り、青い化け物の胸板に数回刺した。幸いまだ生きている様だったが、動けないなら其れで良い。
「出て来たね。セルリア...。」
「あ゙ぁ?」
丁度向かい側に座っている緋い化け物が、偉そうに俺に言う。
周りの化け物は俺に警戒している様だったが、襲いかかって来る気配は無い。
「よくもあたしの手をやってくれたわね...。」
何言ってんだ...?俺は緋い化け物なんか知らない。
「お前の事なんか知らねぇー。化け物は黙って俺に殺されろよ。」
緋い化け物の目付きが悪いくなる。
怒ったのか...、化け物でも起こるんだな。
緋い化け物が怒ったのと同時に、周りにいる化け物が俺に襲い掛かる。
緋い化け物がリーダーと考えるのが妥当だな。
最初に俺と接触したのは近くにいた、猫耳の付いた紫の化け物だ。
本当に猫みたいに俺に掴みかかって来た。俺は紫の化け物の伸ばされた腕を、紙一重で避け腕を掴む。
流す様に地面に叩き付けると、紫の化け物の頭を足で踏み付ける。
次に右側から顔の下半分を隠した、女と思われる化け物が短剣を持って襲いかかって来た。
女の化け物の短剣をナイフで受け流すと、胸骨の少し下辺りに拳を一撃入れる。
力が緩んだ女の化け物の手から短剣を奪い取る。
すると踏み付けていた紫の化け物が、俺の足首を強く握り締める。
一瞬其の痛みに意識を持っていかれ、背後から黒い化け物と黄色い化け物が、俺に乗り掛かって来た。
体のバランスが崩れ前方から体が倒れる。其れを機に一気に俺の上に乗り掛かる。
流石に複数人が上に乗ると身動きが取れない。俺は為す術なく取り押さえられる形となった。


