side:セルリア
目を開けばあの暗闇ではなく、懐かしい風景が俺の眼前に広がっていた。
俺は眠った筈、なのに...何でこの風景が広がっているんだ。
この風景...そう、俺の家だ...。
正確に言えば俺が縋っていたもの。もう思い出さ無いと思っていたのだが、何故今頃になって...。
俺が頭を抱えて考えていると、家の玄関が開かれた。
中へ入って来たのはあの女だった。
厚化粧をしているが、服と髪が乱れている。適当な男を誘った証拠だ。
「おいガキ!!!帰ってきたんだから出迎えくらいしろ!!!」
汚い言葉使い、枯れている声...。
其の声に反応して部屋の奥から、小さな小汚いガキが出て来た。
髪はボサボサで体は痩せ細っている。
「お帰りなさい...お母さん...。」
「遅いんだよ!!」
女はガキを殴った。
細い体で其の衝撃を受け止める事は、当然の事ながら出来ずに床に倒れた。
「家に置いてやってんだ!!もっと献身的になったらどうだい!?」
「ごめんなさい...。」
「解りゃー良いんだよ。ったく...。」
女は言いたい事を言い放った後、奥にあるベッドルームへ行ってしまった。
ガキは腹を押さえて、体を丸めた。
もう何日もまともな食事を摂っていないからだ。
この国の寒さで飢えは直結的な“死”を意味する。
嗚呼、何だってこんなもの見ているんだ。
“よりによって、何で俺の過去を見ているんだ...。”
ガキは無い体力を振り絞って、立ち上がると外へ歩き出した。
俺もガキの後を付けて、外に出る。
ガキは家の路地に入ると、隣の家から出た生ゴミを漁った。
其の中からまだ食べれそうな物を取り出すと、何の抵抗も無く口へ入れた。
こうやってガキの俺は、消えかかっている命を如何にか繋ぎ止めていた。
視界が回転し、場面が変わった。
視界に入ったのは、暗い夜の中1人床に座り込んでいるガキの俺だ。
奥のベッドルームから女の汚い甘い声と、男の気持ち良さそうな声が聞こえてくる。
思わず俺は耳を塞いだ。聞きたく無かった、耳へ入れたく無かった。
汚い声が俺の耳へ入り、頭を汚染していく事が耐えられなかった。
ガキは壊れた玩具(おもちゃ)の様に、微動だにせず何処か一点を見つめていた。
これが...俺の毎晩だった。
毎日この声が家の中で響いていたのだ。
目を開けばあの暗闇ではなく、懐かしい風景が俺の眼前に広がっていた。
俺は眠った筈、なのに...何でこの風景が広がっているんだ。
この風景...そう、俺の家だ...。
正確に言えば俺が縋っていたもの。もう思い出さ無いと思っていたのだが、何故今頃になって...。
俺が頭を抱えて考えていると、家の玄関が開かれた。
中へ入って来たのはあの女だった。
厚化粧をしているが、服と髪が乱れている。適当な男を誘った証拠だ。
「おいガキ!!!帰ってきたんだから出迎えくらいしろ!!!」
汚い言葉使い、枯れている声...。
其の声に反応して部屋の奥から、小さな小汚いガキが出て来た。
髪はボサボサで体は痩せ細っている。
「お帰りなさい...お母さん...。」
「遅いんだよ!!」
女はガキを殴った。
細い体で其の衝撃を受け止める事は、当然の事ながら出来ずに床に倒れた。
「家に置いてやってんだ!!もっと献身的になったらどうだい!?」
「ごめんなさい...。」
「解りゃー良いんだよ。ったく...。」
女は言いたい事を言い放った後、奥にあるベッドルームへ行ってしまった。
ガキは腹を押さえて、体を丸めた。
もう何日もまともな食事を摂っていないからだ。
この国の寒さで飢えは直結的な“死”を意味する。
嗚呼、何だってこんなもの見ているんだ。
“よりによって、何で俺の過去を見ているんだ...。”
ガキは無い体力を振り絞って、立ち上がると外へ歩き出した。
俺もガキの後を付けて、外に出る。
ガキは家の路地に入ると、隣の家から出た生ゴミを漁った。
其の中からまだ食べれそうな物を取り出すと、何の抵抗も無く口へ入れた。
こうやってガキの俺は、消えかかっている命を如何にか繋ぎ止めていた。
視界が回転し、場面が変わった。
視界に入ったのは、暗い夜の中1人床に座り込んでいるガキの俺だ。
奥のベッドルームから女の汚い甘い声と、男の気持ち良さそうな声が聞こえてくる。
思わず俺は耳を塞いだ。聞きたく無かった、耳へ入れたく無かった。
汚い声が俺の耳へ入り、頭を汚染していく事が耐えられなかった。
ガキは壊れた玩具(おもちゃ)の様に、微動だにせず何処か一点を見つめていた。
これが...俺の毎晩だった。
毎日この声が家の中で響いていたのだ。


