side:ケビン
スラファちゃん(アリス)達に連れられて、僕はキハウズ通りから東へ少し向かったイルバー通りにある廃墟に辿り着いた。
辺りに人の姿は1つも見えない。闇と静寂だけが、今僕を取り囲んでいる。
廃墟の中へ足を踏み入れると、廃墟の中心に明かりの灯ったランプが置かれていた。
其の周りに数人の人が座っている。
皆個性的な服装だ。
僕達が来た事に気付いたのか、一同が僕達に視線を集めた。
こ、怖い...。セルリアに交代したいが、今セルリアの意識を感じない。
疲労で眠ってしまったのだろうか。其れ共眠らされたのか。
アルバーレさんが薬がどうとか言っていたし、恐らく後者だと僕は思う。
スラファちゃんが、白ウサギのぬいぐるみを抱きしめながら、僕たちを見つめている人達に話し始めた。
「白ウサギだよ。」
其の言葉を聞くと周りの人達は、嬉しそうに微笑みあった。
思い出した...。昼間セルリアと交代した後に、調整局の人やバーサルトさんが言っていた『不思議の国』の事だ。
あの後すぐに寝てしまったから、何故僕が白ウサギなんて呼ばれているのか、解らない事に変わりはないんだけどね。
ランプの周りに座っていた人の1人が、僕の方に歩み寄ってきた。
黒いシルクハットを被って、黒い燕尾服に身を包んだ男の人。黒い杖も持っている。
「やぁ白ウサギ、紅茶は如何かな?」
そう言う男の人の手の中には、泥水が詰められた缶詰めが握られていた。
思わず苦笑いが漏れる。
「おや、今は気分じゃ無かったのかな?失礼。」
「え、あ...はい、すいません。」
男の人は思い出したように、僕の肩に手を置いた。
「私は帽子屋だ。呼び方は色々あるから〝いかれ帽子屋〟〝マッドハッター〟どれでも構わないよ。」
「ど、どうも…。」
変な人だな...正直接しずらい。
帽子屋さんは僕に渡そうとした泥水を飲みながら、座っていた場所へ戻った。
アルバーレさんとミシェルさんも、自身の定置と思われる場所に腰を降ろした。
僕はスラファちゃんに手を引かれ、薄汚いソファーへ座らされた。
僕の膝の上にスラファちゃんが座る。これは懐かれたと思って良いのだろうか。
「あんたが...白ウサギ...。」
突然ソファーの後ろから声が聞こえた。
僕は思わず声を上げて、後ろを振り返った。
スラファちゃん(アリス)達に連れられて、僕はキハウズ通りから東へ少し向かったイルバー通りにある廃墟に辿り着いた。
辺りに人の姿は1つも見えない。闇と静寂だけが、今僕を取り囲んでいる。
廃墟の中へ足を踏み入れると、廃墟の中心に明かりの灯ったランプが置かれていた。
其の周りに数人の人が座っている。
皆個性的な服装だ。
僕達が来た事に気付いたのか、一同が僕達に視線を集めた。
こ、怖い...。セルリアに交代したいが、今セルリアの意識を感じない。
疲労で眠ってしまったのだろうか。其れ共眠らされたのか。
アルバーレさんが薬がどうとか言っていたし、恐らく後者だと僕は思う。
スラファちゃんが、白ウサギのぬいぐるみを抱きしめながら、僕たちを見つめている人達に話し始めた。
「白ウサギだよ。」
其の言葉を聞くと周りの人達は、嬉しそうに微笑みあった。
思い出した...。昼間セルリアと交代した後に、調整局の人やバーサルトさんが言っていた『不思議の国』の事だ。
あの後すぐに寝てしまったから、何故僕が白ウサギなんて呼ばれているのか、解らない事に変わりはないんだけどね。
ランプの周りに座っていた人の1人が、僕の方に歩み寄ってきた。
黒いシルクハットを被って、黒い燕尾服に身を包んだ男の人。黒い杖も持っている。
「やぁ白ウサギ、紅茶は如何かな?」
そう言う男の人の手の中には、泥水が詰められた缶詰めが握られていた。
思わず苦笑いが漏れる。
「おや、今は気分じゃ無かったのかな?失礼。」
「え、あ...はい、すいません。」
男の人は思い出したように、僕の肩に手を置いた。
「私は帽子屋だ。呼び方は色々あるから〝いかれ帽子屋〟〝マッドハッター〟どれでも構わないよ。」
「ど、どうも…。」
変な人だな...正直接しずらい。
帽子屋さんは僕に渡そうとした泥水を飲みながら、座っていた場所へ戻った。
アルバーレさんとミシェルさんも、自身の定置と思われる場所に腰を降ろした。
僕はスラファちゃんに手を引かれ、薄汚いソファーへ座らされた。
僕の膝の上にスラファちゃんが座る。これは懐かれたと思って良いのだろうか。
「あんたが...白ウサギ...。」
突然ソファーの後ろから声が聞こえた。
僕は思わず声を上げて、後ろを振り返った。


