side:セルリア
目が覚める頃には、既に日は傾いていた。
如何やら俺は2~3時間眠っていたようだ。そんなに疲れていたのか。
まだ少し気怠い体を動かして、ベッドから起き上がる。
頭がボーっとして五感が正常に機能していないが、リビングの方からやけに話し声が聞こえる。
誰か来ているのか。依頼人か。

俺はおぼつかない足取りで、リビングへと向かった。
部屋のドアを開けると、ドアのすぐ傍に赤茶色の髪の毛が見えた。
赤茶色は俺に気付いたようで、笑顔で此方に振り返る。


「セルリアさん、久しぶり。」

「何でお前がいんだよ。」

「ギフトさんが呼んだんだよ。」


ドアのすぐ傍にいた人物は、薬物売人のチェルだった。
確か、ナタリアとか言う闇医者の所に居候しているんだったっけな。


「何で俺の部屋の傍にいるわけ?」

「だってナタリアはあっちで話ししてるし、オレ馬鹿だから内容とか解らないしね。」

「理由になってねぇーだろ。」

「細かい事は良いじゃん。年も近いんだから。」


いや、俺お前の年齢とか知らねぇーし。
起きて早々、溜息を吐きながら俺はチェルを無視してリビングへ向かった。
チェルは俺に付いて来るように、後を追ってきた。

リビングには点滴を外したギフトと、チェルと共に来たナタリアがテーブルを囲んでいた。
ドールは差ほど興味が無いのか、ソファーに寝転んでいた。
ディーブはナタリアが来て嬉しいのか、ナタリアの隣に行儀良く座っている。


「セルリア、おはよう!!気分は如何かな?」


俺に気付いたギフトが手を振りながら言う。
この至近距離で手を振るなよ。


「良くも悪くもねぇーよ。」

「おっ、セルリアじゃねぇーか!」


白衣を着た青味がかった黒色の髪をした男___ナタリア・タルマが俺に振り返った。


「よぉ。」

「味気ねぇー挨拶だな、おい。そんなんじゃ女にモテねぇーぞ。」


嫌味を言うようにナタリアは俺に言った。


「生憎、女には困ってねぇーよ。」

「これだから美男子は...」

「何だよ、一体...。」

「釣れねぇー奴だな。折角来たんだから、少しは構えよ。」


嗚呼、そう言えばギフトが呼んだんだっけな。
傷の治療の為か...、其れならディーブがいるし。もしかして、ディーブの励ましの為なのか。
いやいやギフトがそんな気遣い持ってる訳無いか。