第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~

「失礼、おかしな事を言ってしまいましたね。」


バーサルトさんは立ち上がると、僕に手を差し伸べた。


「さぁ、子供達が待っています。」


僕は喜んでバーサルトさんの手を取った。
バーサルトさんに手を引かれ、皆が集まっている場所へ向かった。

『Sicario』の皆はそれぞれ簡単な変装をしていた。
イメージチェンジをしたみたいで、僕は面白くって笑ってしまいそうだった。


「やぁ、バーサルト。此処の子供達は皆素直だね、将来が楽しみだ。」

「其れはありがたい言葉ですね、ギフトさん。」


ギフトさんはバーサルトさんに近付くと、怪しげな笑みを浮かべてバーサルトさんに囁いた。


「僕の邪魔さえしなければね。」

「そうはさせませんよ。」

「け、喧嘩しないで下さいよ...。」


不安になり僕はせめてもの仲介を行う。
ギフトさんは僕に視線を変えると、僕の顔を観察し始めた。
そしてバーサルトさんに話したように、小声で僕に話し掛けた。


「ケビンじゃないか。セルリアは如何したんだい?」

「女扱いに耐えられ無かったみたいで...、」

「ケビンに押し付けるのは、頂けないな。無理はしないでよ。」

「はい、気を付けます。」


そう言うとギフトさんは僕の頭を撫でた。
何で撫でられるのだろう、僕は小動物とでも思われているのだろうか。