side:????
監視を止めようと思っていたが、其の止める事を止めた。
だって面白いものが見れたから...。
てっきり僕は青年が襲い掛かって殺るのかと思ったが、実に呆気なく死んでしまった。
残念だね。青年。
わざわざ肉切り包丁まで借りたというのに...使う事なく終わってしまって。

まぁ、青年なんて如何でもいい。
問題は長身の男だ。
刺されたと言うのに笑顔を崩さない。寧ろ刺された事を忘れているようだ。
痛みを感じていないのか。其れ共ただ単に演技が上手いのか...。
僕は前者だと思う。

10年程前に支部の施設で脱走者が居た。
たった2人で支部を壊滅状態にまで追いやったと聞く。末恐ろしい話だ。
其の内の1人が実験の結果痛覚を失ったと言う報告を受けた。
どのような実験過程があったのかは不明だが、結果として其れは聞いた。

まさかね...。そんな偶然は無いだろう。
とは言え僕は其奴の顔を知らない。
疑う余地は十分にある。10年経った今だが、欲しいな...。
一体どんな事が其の寸止まりの体の中で起きたのか見てみたい。

また実験すれば良い問題なのかもしれないが、目の前に完成したサンプルがあるのなら欲しいだろう。
もしかしたら僕だけかも。


「でも、欲しいな...。」


放置していた僕が悪いのかもしれないけど、今、たった今興味が湧いたんだ。
今じゃないといけないんだ。

痛みを感じない薬を培養出来たら今までショック死するケースが多かった実験も大いに捗(はかど)る。
そうすればまた一歩近付ける。

其れに...セルリア。
恐らく君が使っている其れは、僕が最も欲しいモノだ。

ここ数年間は動いていなかったんだ。
そろそろ動かないと鈍ってしまうよ。



















さて、机上の遊戯(ゲーム)を始めようか。











対戦相手は誰かな?



【Flower vomit】《完》