side:セルリア
外で体を揺らされ、俺の意識は此処(現実)に引き戻された。
朧気な頭を振り、視界に映るものを頭で理解していく。

頭の中が五月蝿いと思い、中(精神内)に行ってみればムッシュが起きていた。
ケビンと会うとは予想外だった、2人共互いの事を認識していなかったので会わないだろうと思い込んでいたが...。

ムッシュの奴...ケビンに何か合ってみろ...存在そのものを消してやる。

外で俺の体を揺らしたのはギフトだった。金色の目で今尚俺を見つめている。


「起きたー?セルリア。」

「あぁ...。一体なんだよ...。」

「んフフ~。マーシャルの元に行くよ。」


ギフトの後ろでディーブとドールの姿が見えた。
2人共外出のような服装だ、準備をしろと言う事か。
俺は横になっていたベッドから体を起こすと、髪を手で梳(と)き木製の椅子に掛けてあるコートを手に取った。

そう言えばアヴァンの姿が見えないな。
如何でもいいか...心配するだけ損な奴だし。


「セルリア~、疲れた顔してるけど何かあったの?」

「何もねぇーよ。」


コートを着ようとしている俺の耳元で、ギフトが囁く。


「嘘は駄目だよ...。」

「!?...」


勘づいてて聞いたのか...。
プライバシーの欠片の無い下衆野郎が...。


「怒らないで...。」


何時の間にか傍に来ていたディーブが俺の手を引く。
「...解ったよ。」と告げると、少しだけディーブが微笑んだ。

ドールはギフトの左腕に抱き着くと何時もの様に擦り寄った。
ギフトの眉間に皺が寄る。
ざまぁみろってんだ。


「ところでよ、アヴァンは如何したんだ?」

「飽きたって言ってたよ~。」


ギフトに似た金色の目でドールが答えた。