第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~

取り敢えず、ギフトが落ち着くのを待つ。
頭の中を整理しているのか何かをずっと呟いている。
数分経つと何故か顔色が青いギフトが、大丈夫と力無く笑った。
本当に大丈夫なのだろうか。
デイも少々苦笑いが漏れている。


「さ、早速...本題に入るか。今回欲しいのは、〝フィネル・タラード〟という女性の情報だ。」

「〝フィネル・タラード〟...?僕の記憶にそんな女性はいない。恐らく偽名だろう。似たような名前なら覚えているよ。」

「一応聞かせてくれないか?」


少し顔色が良くなったギフトが言う。
その顔には、あのムカつく笑顔があった。


「〝フィーラ・タラガスド〟という女性だ。数ヶ月前から消息が不明。彼女には信じ難い情報がある。」

「一体なんだ?」


デイは細く微笑むと右手を差し出した。


「ここからは金を貰うよ。」


ギフトが俺に視線を向ける。嗚呼俺が払えって事か。さっき50,000ラルク無駄にしたからな。
俺は溜息をついて、コートの内ポケットから財布を取り出した。


「いくらだよ...?」

「まぁ、30,000ラルクで手を打ってあげよう。」


高い...。
懐が寂しくなるのが、しみじみと伝わった。