第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~

凄いというか...ご、豪快な人だな。
僕は苦笑いを上手く隠せただろうか...。
何も言ってこないドールさんを見るところによると、無事隠せたようだ。
僕達はその後大きな事を起こすことなく、聞き込みをする事が出来た。

拙い僕の言葉をドールさんはさり気なく、カバーしてくれた。
これが大人の優しさと言うものなのだろうか。
ドールさんは普段は笑みが絶えず、ギフトさんへの愛を振り撒いているけれども、本当はギフトさんと同じく頭が良いのではないのだろうか。
“能ある鷹は爪を隠す”と言うし...其の可能性もあるかもしれない。

暫く続いた聞き込みに僕達は休憩を入れた。
小さな噴水の近くにあるベンチに腰掛ける。


「あぁ〜疲れた〜。」

「そうですね...人に会う機会も少なくて、殆ど歩いていたようなものですから。」

「にしても...聞く度に嫌な顔されるのは、ムカついたなぁ。ボク我慢したんたんだよぉ、偉いでしょ。」

「そうですね。」


我慢してくれていたのか...だからやたらと僕に抱き着いてきたり、頭を擦りつけたりしていたのか。
僕がストレス発散所か...わ、笑えないな。


「と、取り敢えず今ある情報を纏めましょう。」

「メモなんか取ってないよ〜。」


そういうってドールさんは僕の方に頭を預けた。
くせっ毛で柔らかい髪の毛がくすぐったい。