第1巻 Sicario ~哀しみに囚われた殺人鬼達~

僕は皆にしか聞こえない小さな声で、囁いた。


「情報は入ったんですか...?」


ギフトさんは僕に一瞬視線を寄越すと、すぐ食事に戻した。


「此処では話せない...只それだけだったよ。」


僕は何も言えなかった。
その台詞は正しく...少女が忌み嫌われている事を明らさまにしているではないか。
無意識のうちに僕は下唇を噛んでいた、其れを教えてくれたのはディーブ君だった。


「...唇。」

「あ、ごめん...。」


ギフトさんの優しい声音が聞こえた。


「不満があるのかい?ここの住人に対して...」

「形は違うんですけど...僕に似ている気がしてんです。」


頭を撫でられる。
誰かと思えば正面に座っているドールさんだった。


「君じゃないんだよ。悲しむ必要ないし〜、ね?」

「でも...、」

「少女はケビンじゃないんだよ〜。君と同じ気持ちじゃない事くらい解るよね〜。」

「...はい」


ドールさんの言うことも一理ある。
僕と全く同じという事は無いだろう、僕は僕で少女は少女なのだから...。
考え過ぎだよね。
ドールさんは撫でていた手を離した。