あのトレインジャックからそう日は経っていないある日、とある新聞の号外の記事に誰もが目を奪われていた。

其れは此処、殺し屋『Sicario』も例外では無い、最年長と最年少の2人が其の記事に釘付け状態になっていた。

記事の内容は、何ともファンタジー溢れるものだった。都心からかなり離れた農村のニュースで、にわかに信じ難いものだ。

『花を吐く少女』がいるとの事だそうだ、正直俺はこの記事を見た瞬間阿呆か此奴等はと思った。


「ねぇこの花吐き少女、実験したいよッ!!実に興味深い!たまらないね!!」

「...ぼくは解剖したいな。中身が気になる...。」


花を吐くから何だ、というのが俺の意見だ。
花より血の方が俺は興奮する。もっと言うのなら、静脈血より動脈血が更に興奮を呼ぶ。

別に変態という訳ではない...多分な。


「この世間に、こんな興味深い記事を書く記者がいたんだねぇ!!僕は感激するよ!其の記者に200,000ラルクは出したいね。」

「たかが紙1枚に200,000ラルクも払う価値ねぇーだろ。」

「“たかが”とは聞き捨てならないな、セルリア。この紙1枚で世界を変える事だって出来るんだ!たかが紙されど紙だよ。」


訳が解らない...。
俺は眉間に手を当てて、溜息を吐いた。